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エクスペリエンス主導型コマース戦略の成否を決める3つの目標


アドビ 株式会社
2020/10/26 17:00

新型コロナウイルス感染拡大は、世界中の人々の生活環境を大きく変えました。それに伴い、これまで対面の顧客接点を通じたビジネスに大きく依存していた企業は急速にデジタルシフトを進めています。経済活動の再開以降、「お店での買い物」という当たり前の日常が戻ってきた感がありますが、デジタルコマースはすでに私たちの生活に深く浸透しています。新しい日常に向けて、小売業はどのようにビジネスを見直せばいいのでしょうか。

先進小売業が重視する2つの施策

小売業が取り組むべき戦略テーマは、コロナ以前から変わったわけではありません。ビジネス環境の変化を表す言葉として、日本で最もよく知られているのはO2O(Online to Offline)です。Webサイトから店舗への送客に効果がある施策として、取り組んできた企業も多いことでしょう。比較的最近では、中国のあるベンチャーキャピタリストがOMO(Online Merges Offline)と指摘したように、オフラインとオフラインの境目が徐々に曖昧なものになりつつあることも見過ごすことのできない変化です。市場が成熟し、巨大ECサイトに良い商品で溢れている現状では、リアルの店舗だけに依存する戦略では成長の限界を打ち破ることはできません。

だからと言って、AmazonやAlibabaのようなデジタルディスラプターを過剰に脅威と考える必要もありません。店舗を持つ小売業の中でも先進的な企業は、主に2つの施策に注力する傾向が見られます。その一つはモバイルコマース、もう一つがBOPIS(Buy Online Pickup In Store)と呼ばれる「オンラインで購入した商品を店頭で受け取れるサービス」です。この2つの施策の導入を牽引しているのが、デジタルデバイスで積極的に情報収集を行う消費者の存在です。

米国におけるモバイルコマースは、ミレニアル世代と呼ばれる若い人たちが好むショッピングスタイルとして知られています。日本でも周りを見渡すと、暇さえあれば若い人たちはスマートフォンを触っていますし、PCのキーボードに触れないまま社会人になる人たちも増えてきました。彼らは情報収集から商品の購入までをスマートフォンだけで完結させているわけです。一方、もう少し上の世代は複数のデジタルデバイスを使いこなしているのが特徴です。彼らの場合、スマートフォンで情報収集を行うこともありますが、PCやタブレットのような大きな画面で詳細を検討することを好みます。その後の行動や人によって様々です。そのまま商品をカートに入れ、オンラインだけで決済まで完結させることもあれば、オンラインで検討を済ませてから店舗で購入を完結させることもあります。

BOPISとは、オンラインで購入した商品を自宅に配送してもらうことなく、店舗で受け取れるようにするサービスです。日本でもビックカメラやユニクロ、無印良品のようにBOPISを導入する企業が増えてきました。オンラインショッピングは便利な反面、思ってもみなかった商品との出会いや店員との会話を楽しむことはできません。でも店舗は違います。わざわざ店舗に足を運んでくれるお客様は、商品を取りに来る以上の期待があって来店しているのではないでしょうか。BOPISであれば、その期待に応えることもできるわけです。

そう考えると、買い物をする場所として店舗は依然として重要な存在と言えるでしょう。お客様が求めているのは欲しいものを欲しいときに見極めて買いたいということです。実際にどこで買うかはその時々でお客様にお任せする。それができるようにするには、オンラインとオフラインを対立軸で捉えるのではなく、両方への投資をバランスよく行う必要があるのです。

調査結果からわかる米国の最新トレンド

アドビはAdobe Analyticsを使い、デジタルコマースの最新状況を明らかにするデジタル指標「Adobe Digital Economy Index(DEI)」を定期的に調査しています。DEIは、匿名で集計された小売業のwebサイトへの1兆件を超える訪問データに基づいており、米国のオンライン小売業者上位100社中80社の数千万の製品SKU(Stock Keeping Unit)を対象にしています。5月末のDEIの分析結果 によれば、米国での外出自粛期間に相当する4月のデジタルコマースの利用金額は702億ドル。5月は825億ドルを記録し、この2カ月だけで2019年のホリデーシーズンの金額を上回る水準であったことがわかっています。また、同調査からは4月のBOPISでの取引が前年同月比208%増となっていることもわかりました。この結果からは店舗での滞在時間を減らし、健康へのリスクを最小限にとどめたいと考える顧客ニーズが透けて見えます。

BOPISはお客様だけでなく、従業員の健康を守ることにも役立ちます。米Walmartは、Amazon対抗策として注文した商品をセルフサービスで受け取るピックアップロッカーを設置していることで知られていますが、日本でもホームセンター大手のカインズが同様のロッカーを全店舗に設置しました。元々、この施策は有人のサービスカウンターの前にできる行列の解消を目的としたものですが、コロナ禍では意図せずして3密を避ける効果があったわけです。

また、5月の調査結果からはスマートフォンからの購入が増加していることもわかっています。外出に制限があった期間はPC経由での購入が増えると予想していましたが、実際は感染拡大前の1月と比べてスマートフォンでの購入が10%増加したことがわかっています。6月以降、経済活動の再開と共にデジタルコマースの利用金額は減少傾向にありますが、前年と比べると高い成長率を維持しています。

一連の調査結果からわかるのは、デジタルコマース(EC及びモバイルコマース)とリアルの店舗をシームレスに連携させ、お客様に魅力的な買い物の場を提供することが、コロナ前と変わらない戦略テーマだということです。ここ数カ月の日本の状況を振り返ると、再びデジタルファーストに戻る可能性も考慮し、環境変化に適応でき、顧客ニーズに柔軟に応える仕組みを構築することが求められています。

戦略で重視するべき顧客体験

その仕組みづくりの鍵を握るものが顧客体験(CX)です。今日、あらゆる企業の競争力の源泉は製品やサービスから、それを基にした体験(エクスペリエンス)にシフトしています。もうプロダクトアウトの価値観のままではいられません。少子高齢化が進み人口減少に転じた日本だからこそ、新規顧客の獲得以上に既存顧客にファンになってもらい、継続的に購入してもらわなくてはならないのです。そのためには、カスタマージャーニー全体を通して、一人ひとりに対して快適なショッピング体験を提供する顧客体験管理(CXM)の実践が求められます。アドビではそのための戦略を「エクスペリエンス主導型コマース」と呼んでいます。

優れた顧客体験とは、認知から関心、検討、購入、利用に至るまで、あらゆる顧客接点を通じて行うお客様と企業とのインタラクションの総和に他なりません。マーケターにとって、エクスペリエンスとは、データとコンテンツを駆使しながら一人ひとりのお客様を導くことを意味します。データはお客様を理解する上で不可欠なものです。カスタマージャーニーを構成する顧客接点には様々なものがありますが、店舗を持つ小売業にとって難しいのは、オンラインとオフラインの両方の顧客接点から得られるデータを集約して活用することです。

店舗のデータとECサイトのデータを別々に管理していると、顧客体験はチグハグなものになります。昨日、店舗である商品を購入してくれたお客様が再びECサイトに来店したのに、購入した商品を再びお勧めするようなチグハグな接客をする事故が起きてしまうのです。それを避けるには、あらゆるデータを一つに集約し、お客様を正確に理解しなくてはなりません。しかも人数がどんなに多くても、一人ひとりを主人公として扱わなくてはならないのです。また、お客様はどこにいてもどんな時間帯でも、興味がある企業やブランドにアプローチしてきます。お客様を引き付け、企業やブランドのビジョンに共感してもらうにはカスタマージャーニーの中で適切なタイミングで適切なコンテンツを提供し、気持ちを動かすストーリーを伝えることも必要です。

アドビでは、一人ひとりの顧客に対し、常に一貫性のある体験を提供するには、「オーディエンスを詳細に理解すること」「適切でパーソナライズされたエクスペリエンスを、意味のある場所に配置すること」「顧客のエクスペリエンスへの反応を常に把握しておくこと」という3つの目標を実現する必要があると考えています。

エクスペリエンス主導型コマースを実践する方法

これからのマーケターに求められるのは、無数のノイズに惑わされることなく、テクノロジーを使いながら、一人ひとりのお客様を価値ある体験に導く ことです。社内の仕組みを振り返った時、チグハグな体験を提供していませんか。一過性の接客に終わることなく、忘れられない体験を提供できる準備ができていますか。顧客体験の見直しはこれまで以上に迅速かつ柔軟に推進するべきテーマです。どうすればエクスペリエンス主導型コマースで、顧客とのエンゲージメントを深めることができるのか。その方法を知りたい方は、ぜひ『エクスペリエンス主導型コマース入門』をお読みください。アドビはコマースで優れた顧客体験の提供を支援する具体的な方法を提示しています。



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